塔婆って何?

 お盆とか法事で目にする塔婆は、正式には卒塔婆(そとば)といい、もちろん供養のために建てるものです。(立てるではなく「建てる」と表する理由は後ほど分かってくると思います。)


しかし「何で塔婆なの?」と疑問が湧きますよね。
実は経典の中に「塔を建てて供養すべし」と書かれているからなのです。
 卒塔婆は原語サンスクリット語で「ストゥーパ」といい、対訳すると「重ねた塔」という意味になります。
 しかし一概に重ねた塔を建てるといっても幅が広いですよね、大きい物は国宝ランクの五重の塔までにもなりますから。
そんな様々な重塔の中で、もっとも身近に準備できる重ねた塔として木板製の「卒塔婆」が考案されました。卒塔婆には4つの「刻み」がありますが、5つに分類するためです。


下から『地・水・火・風・空』という内訳です。この5つは自然界を構成している要素という発想です。要素5つ各々を司る神仏にお供えし、そしてお釈迦様に法味を捧げるという形式になります。

 変だと思うでしょう。
亡くなった人やご先祖にでなく、お釈迦様や自然界の神仏に捧げているのが特徴です。
 これは「祈り方」を考えると理解しやすくなります。実際どう祈っているのか?を説明しますと、
「お釈迦様、そして自然界の神様・仏様。どうかご先祖様を良い精霊にしてあげて下さい」
と拝んでいるのです。
 そう、直接的に語ってる相手とはご先祖様でなく、お釈迦様や神仏だからなのです。
それを聞き取ったお釈迦様と神仏が、我々のご先祖様に功徳を与えているのです。
この事を仏教用語で「回向(えこう)」と呼びます。回して向かう。つまり、私たちの願いは、お釈迦様を経由して届けて下さるのです。